預金 2

ウイスキーの熟成には、天使の分け前が必要です

~ 増えるどころか、減っていきます ~

銀行預金では資産運用にならないということを前回書きましたが、それでも現状として、日本人は貯金が大好きです。さっとネットで調べると54%が現金預金。ただし、保険年金等が28%で、これを資産と捉えるなら利回り的にはほぼ預金と同じだろうから、私が思うに現金預金とほぼ同じ。ということは、多くの日本人は財産の8割近くを現金預金で保有しているということになります。

投資して減るのが怖いから、というのが主な理由なのでしょうが、預金は、目減りしていくということを考えたことがあるでしょうか?預金は、株価のように下がったりはしませんが、実は知らない間に減っていくのです。それは、物価が上がっているからです。

預金が100万円あるとします。ラーメン一杯が1,000円だとすると、この預金で1,000杯食べられます。ものすごく物価が上がって、ラーメン一杯が10万円になったとします。いろんな物がそんなに値上がりしたら生活できなくなりますが、経済学の「理論上」ではインフレになると給料も上がる「はず」なので、そのときは給料も100倍になっていれば実生活上は問題ありません。ではそのとき、100万円の預金はどうなりますか?100万円の預金は、インフレでも100万円のままなので、ラーメンは10杯しか食べられなくなります。

テレビの番組などで昔のお金の話が出てきて、「この時代の10円は今の時代にすると〇〇円ぐらいの価値になります・・・」みたいなコメントを聞いたことがあるかもしれませんが、あれは別の言い方をすると「この時代の10円を今の時代に10円として持っていても大した価値はありません」ということを言っているわけで、これこそラーメンの話と同じことなのです。

~ 悪魔の取り分 ~

さっとネットで調べると、日本の消費者物価指数は、2022年を「100」とすると、1980年は「73」なのだそうです。昔の頃を思い出してみると、たしかに身の回りのものは食料品から本、おもちゃ、その他諸々のモノの値段は上がってきているのがわかると思います。銀行預金は、物価が上がると、預金の額はそのままなので、「目減り」するのです。

日銀が、目標インフレ率2%ということを言っていますが、あれは毎年物価を2%上げる、という目標です。給料もそれだけ上がれば生活上はなんの問題もありません。しかし預金は、インフレによって毎年2%ずつ目減りしていくということなのです。

0.002%の利息では、増えるどころか減っていくのです。だからこそ、資産運用にはならないのです。