貯金について 2

~ お金が貯まって満足してはいけない ~

前回、貯金の方法ということで、給料から天引きする方法を述べました。しかし貯金する方法はどうであれ、私は(少なくとも今の時代)貯金を勧めるつもりは全くありません。貯金では資産運用にならないからです。

まとまったお金を作る方法として天引きの貯金を紹介したのは、投資のための種銭を用意するためであって、このやり方でお金が貯まったら投資用の他の金融機関の口座に移すのです。そのまま貯金していてはいけません。

私の会社には、会社が福利の一環としてやっている給料天引き貯金があります。もちろんこの貯金も一般の金利水準の影響を受けて利率が上下するのですが、どういう仕組なのかわかりませんが、自由に出し入れできる(といっても一月1回ですが)普通預金のようなものなのに、概ね普通の銀行の定期預金以上の利率でした。会社が何がしかの補助をしてくれていたのかもしれません。

この貯金について、こんなふうに評価する同僚たちがいました。「“わが社の貯金”(※固有の名前があるのですがそれを書くと身元がバレるかもしれないので、仮名です。)の利率は0.1%。一般の銀行の預金は0.001%ぐらい。全然我が社の貯金のほうが有利だよ。(※その当時の利率がどれぐらいだったか覚えていませんが、だいたいこんなもんだったと思います。)」「資産運用は、ずっとわが社の貯金で貯めています。普通の銀行より利息がいいので、ちょっとでもマシかと思って。」

こんな人達が大勢いました。日本人はお金についての教育を受けていないので仕方がない思考なのかもしれませんが、まったくもって資産運用の思考ではありません。

~ ひとえに風の前の塵に同じ ~

私が思うに、「小数点が付いてしまえばゼロと一緒」です。実際に計算すればいくらの額が増えるのか明らかになります。たしかに利率だけ比べれば、上記の場合だと100倍も違うのですが、実際の利息額として100円と1万円を比べても、毎月のお小遣いとしては重要な差かもしれませんが、1年間の資産運用の結果として考えればどうでもいい違いしかありません。誤差の範囲です。

「チリも積もれば山となる」なんて言う人もいましたが、チリでできた山なんて見た人はいません。山になる前に風が吹いたら霧散してしまうでしょう。祇園精舎の鐘の声、の世界です。

しかし、現実問題として生活費を出し入れする口座は必要ですし、「非常用」として現金を準備する必要も当然あります。そういう用途でのみ貯金は必要なのです。そういった最低限の金額を確保したら、さっさと投資用の口座に移してしまいましょう。