本の紹介 遭難からあなたを守る12の思考(2023.1.2)

遭難からあなたを守る12の思考  ヤマケイ新書  村越真・宮内佐季子

この本は、投資の本ではありません。山登りをするときにどんなリスクが有り、どんな考えでこれに対処すべきか、といった内容の本です。登山を趣味とする方は読んでおいて損はないと思います。

事前にどのようなリスクがあるかを予想し、対処できるように準備する、という考え方は、ムリヤリ解釈すれば投資にも相通じる物があるかもしれません。しかし、頭の体操というか理論上のお遊びというか、おそらく資産運用の実践においては何の役にも立たないでしょう。

ではなぜこの本を紹介するか?

この本の中で引用されている別の方のセリフ、これに感銘を受けたからです。以下のセリフがそうですが、これは登山のリスクについて引用している訳ですが、投資についてもそのままあてはまります。

自分の判断は信頼に値すると熱心に説く輩は自分も含めて絶対に信用するな
   (ダニエル・カーネマン 「ファスト&スロー」 早川書房)

これを書いているのは1月2日。2023年の相場はどうなるといった、まるで預言者かと思うような記事がメディアには溢れています。面白い読み物ではありますが、ああいった記事をまともに信じてはいけません。今年が終われば、予想が当たっていれば「私が言ったとおりだった。さて来年は・・」という記事になるし、外れていれば「外れたのはコレコレの事情があったからだ。だから来年は・・」という記事になります。要は紙面を埋めるために何か書かないといけないから書いているだけで、信用してはいけません。そういったことを熱心に話したがる人もいますが、もちろんそんな人も信じてはいけません。

カーネマン氏の言葉が響くのは、「自分も含めて」というところです。今しかない、ここしかない、と自分に言い聞かせるときは危険なのです。そういうときは少し待て、と昔の相場師たちも言っています。

私も大いに反省しなければいけないところです。なおこの本は投資家の心理などについて書かれた本のようなので、機会があれば読んでみたいと思います。

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